私たちは、何か行動をする時
無意識のうちに「見返り」を
期待しています
隣人に「おはようございます」と
笑顔で言った際には
隣人の笑顔での対応を期待しますし
歩道などで自転車に道を譲った時には
軽い会釈とかを期待します
新作のケーキを買う時には
新しい美味しさを期待します
また、少しスピリチュアルな人は
自分が宇宙に提供した善行はやがて
自分に帰ってくると思っています
つまり
私たちの行動や努力のほとんどは
期待が込められている訳です
そして、その期待が裏切られた時は
落ち込んだり、怒ったりもします
それはまるで
株式を売買するデイトレイダーの
ようでもあります
上がるだろうと期待して
株を買いますが
株価は予想を超える動きをするため
その変動の度に、一喜一憂して
心が休まる暇がありません
そして実は、私たちの
このささやかな期待を持った生活も
この世界の経済活動も
「ある法則」に従って
出来あがっています
それは、私の行動という「出力」よりも
他者からの「入力」が大きいことを望む
というもの、つまり平たく言えば
「私は得をしたい」という心の法則です
私達は、わらしべ長者になりたい訳です
そして
この「私が得をしたい法則」は当然
「自分と他人とが、存在している」
という大前提となります
ですが、真理から見てしまえば
この前提は、幻想です
自他を分ける印は、どこを探しても
どこにも存在しません
私たちは世界を自と他に勝手に分割し
幻想の自と他に翻弄されているのです
期待しない生き方
では、自分の行動や努力に対して
見返りを求めない生き方をしたら
どのようになるでしょうか？
ただ美しいと感じられる行動や
ただベストと思える行動をして
それに対する見返りや評価は
まるで気にしない生き方
それを実行する人は
未来や評価や結果などを気にせずに
美しい事や
誰の為でもないただのベストだけに
集中するので
脳の仕事量が大幅に減ります
未来や評価や結果に悩む事は
実は、私達にとって
とてつもない負荷なのです
それから解放された私たちは
とても楽になります
ただ
結果や評価を気にしないといっても
「投げっぱなし」「やりっぱなし」
という訳では無く
出てきた結果に対しても
そのまた後の評価を気にせず
再度ベストを尽くします
やがてその人は、出力（行動）自体を
楽しく感じるようになります
未来に起こるかも知れない対価が
楽しみな訳でなく、その人は
いまの瞬間が楽しくなります
理解が進んでいけば
自分の出力したベストが
自分の身体に戻ってこずに
他の身体がそれを受け取り
喜んでいたとしても
それは、私の世界の中の
他の身体という私の一部分が
喜んでいるのだと感じ
豊かな気分にさえなります
そして、期待しないその人は
けして自己犠牲的という訳でも
ありません
何かを与えてもらえば
喜んでそれを受け取ります
他人が私を愛することを
私が私を愛している
世界が世界を愛していると感じます
またその人は、狡猾な誰かに
いいように利用されるという事も
ありません
自分の身体や利益という事柄も
大切な世界の一部分なのですから
当然、大切にします
その人は、太陽に似てきます
太陽というのは、陽光をもって
全てのものを照らしていますが
何の期待も見返りも欲していません
陽光に照らされて、感謝する者や
暑いと言って、悪態をつく者を
太陽は、まるで気にしません
そして、太陽のようなその人は
人に好かれることさえ期待しませんが
必然的に、人や動植物にも
非生物にも、好かれるでしょう
なにせ太陽のような人なのですから
皆、本能的に好きになってしまいます
冥想とは
自他の境界は存在しない
よって
悟り自体は存在するが
悟る個人も存在しないと
知る事ですが
「期待しない生き方」は
普通に生活しながら
真理を楽しむことができる
冥想以上の強力なメソッドかも
しれません
